[事務所通信]
個人事業主やフリーランスの方にとって必要な保険である「国民健康保険」について、減免制度がありますので、その内容を紹介いたします。
目次
概要
要件
減免対象期間と受付期間
減免金額
1.概要
もともと国民健康保険には次のいずれかに該当すれば減免が受けられる制度がありました。
災害等により生活が著しく困難となった人、又はこれに準じると認められる人
疾病等により収入が著しく減少した人、又は多額の医療費を要した人
予想できない突発的な事情(倒産等)により収入が著しく減少した人
今回、紹介するのは上記のものではなく、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した人を対象とした減免制度です。
※各市区町村で申請用紙は異なるため、各市区町村のホームページからダウンロード、または、問い合わせし申請用紙をご準備ください。
2.要件
次の(a)または(b)のいずれかに該当する世帯
(a)新型コロナウイルス感染症により、主たる生計維持者(※1)が死亡し又は重篤な傷病を負った世帯(1か月以上の治療を有すると認められる場合など、新型コロナウイルス感染症の症状が著しく重い状態を指します。医師の診断書により確認させていただきます。)
(b)新型コロナウイルス感染症の影響により、主たる生計維持者の事業収入、不動産収入、山林収入又は給与収入(以下「事業収入等」という。)の減少が見込まれ、次の1.から3.までの全ての要件に該当する世帯
[(b)の要件]
世帯の主たる生計維持者の事業収入等(特別定額給付金、持続化給付金等の給付金は含まない)のいずれかの減少額が前年の当該事業収入等の額の10分の3以上であること。
世帯の主たる生計維持者の前年の合計所得金額が1,000万円以下であること。
減少することが見込まれる世帯の主たる生計維持者の事業収入等に関する所得以外の前年の所得の合計額が400万円以下であること。
※(b)に関しての注意点と解説
前年の事業収入等の金額は、給与所得の方の場合は源泉徴収票で確認できますが、事業等の収入の場合は、申告する必要がありますので、未申告の方は申請できません。
前年の事業収入等の金額と比較する今年(令和2年)の収入見込額は、松山市の場合は次のように書かれています。
申請の前月までの収入実績をもとに、ご自身で算出していただきます。例えば令和2年1月から4月までの収入実績を3倍して年間見込み額を算出する方法や、令和2年1月から5月までの収入実績と6月以降は5月と同じ収入として12月までの見込み額を計算したものを合計して算出する方法などがございます。今後、収入額が減少のまま継続するのか、一切見込めなくなるのか、職種等によっても状況は異なるため一律に算出方法をお示しすることは困難です。収入実績に基づいたものであれば算出方法は問いません。
実績をもとにすれば算出方法は問われないのならば、申請の前月までで一番少ない月の収入を年換算(12倍)したものを前年と比較すれば30%以上の減少となりやすいのではないでしょうか。
ちなみに隣の今治市では、確定している収入金額は記載するようになっています。
1.の「事業収入等」は、事業収入(営業と農業いずれも)・給与収入・不動産収入・山林収入が該当します。
いずれの金額も、所得ではなく、収入(経費を差し引く前の売上高)を判定の基礎とします。
2.の合計所得金額は、国税庁のホームページにはこのように定義されています。
次の(1)と(2)の合計額に、退職所得金額、山林所得金額を加算した金額です。
※申告分離課税の所得がある場合には、それらの所得金額(長(短)期譲渡所得については特別控除前の金額)の合計額を加算した金額です。
(1)事業所得、不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得及び雑所得の合計額(損益通算後の金額)
(2)総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後の金額)の2分の1の金額
ただし、繰越控除を受けている場合は、その適用前の金額をいいます。
確定申告書を提出している方は、確定申告書第一表の所得金額(9)欄の合計の金額が合計所得金額となります。
確定申告書第三表も提出している方は、第一表の(9)の金額に、第三表の(59)~(69)の金額と、右下の分離課税の短期・長期譲渡所得に関する事項の特別控除欄の金額を加算してください。
確定申告書の第四表を提出している方は、第四表の(67)~(70)と下の表の(71)を合計したものが合計所得金額です。
3.の減少することが見込まれる世帯の主たる生計維持者の事業収入等に関する所得以外の前年の所得の合計額は、事業収入等以外の前年の所得と、要件(1)に該当しなかった事業収入等(前年比30%以上減少しなかった事業収入(営業と農業いずれも)・給与収入・不動産収入・山林収入)を合計した金額が、400万円以下である必要があります。
3.減免対象期間と受付期間
減免の対象となる国保料は、令和2年2月1日から令和3年3月31日までの間
令和2年6月15日(月曜日)から受付開始しています(松山市)。
令和2年2月1日から令和2年3月31日までの期間は令和元年度の国民健康保険料となることから、令和元年度分と令和2年度分の両方減免申請をする場合は、各年度分の申請書が必要とのことです(添付の確認資料は1部でよい)。
4.減免金額
気になる減免金額についてですが、次の算式により求めます。
申請者側が計算して提出するものではないので、減免金額の決定を通知を受けたときに、ご自身の確認用の参考までに。
対象保険料額(A×B÷C)× 減免又は免除の割合(D)
A:世帯の保険料額
B:世帯の主たる生計維持者の減少することが見込まれる事業収入等に係る前年の所得額
(減少することが見込まれる事業収入等が2つ以上ある場合はその合計額)
C:世帯の主たる生計維持者及び当該世帯に属する全ての被保険者につき算定した前年の合計所得金額
(世帯全員の前年所得金額)
D:減免又は免除の割合
まとめ
全員が必ず加入しなければならない健康保険の中の国民健康保険の減免について書かせていただきました。
各市区町村によって申請書類が異なりますので、ホームページもしくは電話にて確認してみてください。
以上です。ありがとうございました。
今後ともよろしくお願います(。-`ω-)