確定申告が必要な人はどういう人か、また、なぜ会社員の人は確定申告しなくても良いのか、少し掘り下げて考えてみましょう。
目次
所得税の納税(確定申告と源泉徴収)
源泉徴収は誰にとって有利なのか
1.所得税の納税
そもそも所得税はどのように課税されるのでしょうか。
所得税は、個人の1年間の収入から控除できるものを差引いた残額に課税されます。
これは、個人であれば会社員の方も、フリーランスの方も同じです。
この方達の違いがあるとすれば、納付方法です。
会社員:毎月給与から概算の所得税を徴収され、12月に年末調整にて1年間の所得税額を算定し、概算額と確定額に差額があれば精算します。
この手続きは勤務先の会社が代わりにしてくれます。
フリーランス:1年間の収入から必要経費を差引いた金額(事業所得)から控除できるものを控除した残額に一定の税率を乗じて所得税額を算定します。
この手続きは全て自分で行います(確定申告)。
なぜ両者は異なる納付方法となっているのでしょう。
手続きを見ると、明らかに会社員の方の方が楽で、フリーランスの方の方が労力を要します。
さらに会社員の方には、年功序列や終身雇用などといった、雇用に関する慣習のようなものがあり、会社に入社すれば定年まで安定して雇用され、長く勤めていれば給与は上がり、所得税の計算は会社がしてくれると良いことばかりです。
疑いの眼差しを向けないでください笑
自分でも、心にもないことを書いてるなぁと思っていますし、むしろ、「本当にそうなのか?」と思ってもらえたのなら書いて良かったと思います。
2.源泉徴収は誰得か
次に考えてみたいのは、なぜ会社員の方もフリーランスの方と同じく確定申告の手続きを必要としないのか。
所得税は、納税者の一人一人が、自ら税務署へ所得等の申告を行うことにより税額が確定し、この確定した税額を自ら納付する「申告納税制度」が採用されています。
この制度は、会社員の方も納税者であることから、自らが所得税の計算をして申告納税する必要があると考えられます。
しかし、会社員の方は源泉徴収制度により、給与が手元に届く前に所得税が徴収され(会社によって差引かれ)てから手元に届きます。
(※あくまでも可能性の話ですが)申告納税制度においては、納税者が税額を間違えて所得税が過小となっていたり、あるいは、うっかり失念して収入の申告漏れにより所得税が過少となってしまうこともあり得ます。
(納税者は、自らが間違いがないと確認して計算をした税額を納付するわけです。決して故意に、あるいは恣意的に過小としているわけではありません。ましてや無申告ということもありません。)
教育、勤労、納税の三大義務を掲げる税金を納めてもらう側からこの可能性を考えると、毎月の給与からあらかじめ所得税を徴収してから渡した方が所得税を100%納めてもらえる(取りっぱぐれがない)ため、源泉徴収制度を採用しており、その採用にあたってはフリーランスよりも人数の多い会社員に対して源泉徴収を行ない、その会社員は、年功序列と終身雇用で安定という慣習(考え方)を浸透させるのが良いとしたのではないでしょうか。
その他、所得(収入から経費を差引いたもの)の計算においても、会社員の方の給与所得については給与という収入から無条件に一定の額を給与所得控除として控除できるのに対し、フリーランスの方は事業用の必要経費となるものを領収書等を集めて自ら計算した金額を差引いた金額が事業所得となることから、必要経費の金額が給与所得控除に満たない場合もあり得ます。
その他、会社員の方は厚生年金に加入できたり健康保険に加入できたり、その保険料の半額を会社が負担してもらえること等から、会社員の方の方が有利な場合が多いと考えられます。
(フリーランスの方は厚生年金に加入できませんし、国民年金と健康保険は自らが全額納付します。)
まとめ
これらのことを鑑みると、フリーランスの方よりも会社員の方の人数を増やして、取りこぼしのないよう給与からあらかじめ所得税を徴収し、所得税の税収を増やすことに重きを置いているのではないかと考えます。
この内容は、会社員やフリーランスのどちらの方が良いかという話ではなくて、現状の制度からみた納税の仕組みであったり、税金を納める側ではなく税金を納めてもらう側の考えを読み取ろうとしたものです。
物事はどれも多面的です。一つの方向からでは見えないことも多々あります。
違う視点に考えを巡らせて見えるものを増やすことも、国民の三大義務である教育(学ぶ)ではないかなと思います。
以上です。ありがとうございました。
今後とも本当によろしくお願います(。-`ω-)